薬物所持・使用で逮捕されてしまった

薬物使用コラム

最近は薬物犯罪で逮捕、起訴される芸能人が相次いでいます。この記事をご覧の方の中にもそうしたニュースを耳にして、あらためて「薬物とは怖いものだ。」、「薬物に一度手を染めたらなかなか止めることは難しい。」と感じた方も多いのではないでしょうか?

薬物犯罪は、濫用者個人の身体・精神を蝕むのみならず、その周辺の家族などの生活を破壊し、交通死亡事故などの悲惨な二次被害を引き起こす原因となります。また、薬物の密売などは暴力団組織など反社会的勢力の資金源となるなど、薬物犯罪が社会に与える影響は大きいといえます。そこで、各種法律により様々な規制が設けられているのです。

薬物犯罪とは

薬物犯罪とは、平たくいえば、法律で違法とされている薬物について違法とされている行為を行うこと、をいいます。違法とされている薬物には覚せい剤、大麻のほかヘロイン、コカイン、MDMAなどの麻薬、危険ドラッグなどと言われる指定薬物などがあります。

違法とされる行為には「輸出入、譲渡・譲受、所持、使用、製造、栽培、施用」などがあります。また、以下でご紹介するようにこれらの行為を「営利目的」で行った場合はさらに罰則が重たくなります。

薬物犯罪で問われる罪・罰則

上記のように薬物犯罪といっても様々な行為態様(輸出入、譲渡・譲受、所持、使用、製造、栽培、施用など)がありますが、ここでは使用(法律によって「使用」と言わない場合もあります)、所持に限定し、その罰則などについてご紹介してまいります。

覚せい剤取締法違反

使用

~覚せい剤の場合~

単純使用:10年以下の懲役

営利使用:1年以上の有期懲役又は情状により500万円以下の罰金との併科

~覚せい剤原料の場合~

単純使用:7年以下の懲役

営利使用:10年以下の有期懲役又は情状により300万円以下の罰金との併科

所持

~覚せい剤の場合~

単純所持:10年以下の懲役

営利所持:1年以上の有期懲役又は情状により500万円以下の罰金との併科

~覚せい剤原料の場合~

単純所持:7年以下の懲役

営利所持:10年以下の有期懲役又は情状により300万円以下の罰金との併科

大麻取締法違反

使用

使用は処罰されません。これは、日本では依然から有害性の少ない大麻の種子は七味唐辛子に茎は麻縄などというように、日常生活に親しまれてきた歴史的経緯があります。そして、こうした種子や茎は現在の大麻取締法でも規制対象から除外されています。しかし、種子が取れる大麻草や成熟してない茎は有害で規制対象であり、規制外の種子や茎からも微量なりとも大麻成分が検出されないとも言い切れず、検出された際はいずれを使用したのか特定できないことから使用は不可罰とされたに過ぎません。使用が不可罰だからといって大麻が合法というわけではありません。

所持

単純所持:5年以下の懲役

営利所持:7年以下の有期懲役又は情状により200万円以下の罰金との併科

麻薬及び向精神薬取締法違反

施用

~ヘロイン~

単純施用:10年以下の懲役

営利施用:1年以上の有期懲役又は情状により500万円以下の罰金との併科

~コカイン~

単純施用:7年以下の懲役

営利施用:1年以上10年以下の懲役又は情状により300万円以下の罰金との併科

~MDMA~

単純施用:7年以下の懲役

営利施用:1年以上10年以下の懲役又は情状により300万円以下の罰金との併科

あへん法違反

吸食

7年以下の懲役

所持

単純所持:7年以下の懲役

営利所持:1年以上10年以下の懲役又は情状により300万円以下の罰金との併科

毒物及び劇物取締法違反

摂取・吸入

1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金、又はこれらの併科

摂取・吸入目的での所持

1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金、又はこれらの併科

薬機法(旧薬事法)違反

薬機法は正式名称、医薬雛

使用(医療等の用途以外の場合)

3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、または併科

所持

単純所持:3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、または併科

業として所持:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、または併科

※「業として」とは「将来反復継続する意思をもって」という意味で、所持の態様は「販売又は授与の目的で貯蔵又は陳列」に限られます。

薬物の所持・使用で逮捕されたら弁護士へ

刑事事件における弁護士のメインの活動は示談交渉です。しかし、薬物犯罪では直接の被害者はいませんから示談交渉できません。また、薬物犯罪では他の犯罪に比べ、特に起訴されるまでは釈放されにくいというのが特徴です。しかし、薬物犯罪では特に以下の場合、弁護士が力になれます。

無罪主張したい場合

薬物犯罪では、たとえば覚せい剤を所持していたことを認識していたか、つまり薬物所持の故意(認識)や薬物犯罪の発覚の端緒となった職務質問、所持品検査などの違法性が争われることが多いのが特徴です。仮に、こうした事項を争う場合、弁護士はあなたの味方になって捜査機関や裁判所に働きかけてくれます。

執行猶予、一部執行猶予を獲得したい場合

薬物犯罪を認める場合は、執行猶予や一部執行猶予の獲得に努めてくれます。執行猶予や一部執行猶予を獲得するためには、裁判で有利な情状を主張、立証しなければなりません。有利な情状としては、被告人が深く反省していることはもちろん、社会復帰後の適切な監督者がいること、環境が整っていることなどが挙げられます。弁護士はこうした事実を裏付ける証拠を裁判前からそろえ、裁判で主張・立証します。

再犯防止のために真剣に取り組みたい場合

薬物犯罪は再犯率が高い犯罪です。したがって、身内だけで再犯防止に取り組もうとしても限界があります。やはり、周囲のサポートが必要でしょう。弁護士も頼るべき存在の一つです。薬物犯罪に詳しい弁護士、被告人の社会復帰後のサポートにも力を入れている弁護士であれば、薬物治療を専門とした医師や病院との橋渡し役となることができ、釈放後、スムーズに社会復帰できるようサポートしてくれます。

タイトルとURLをコピーしました